角館の「かばざいく」は、『樺細工』または『桜皮細工』と書きます。『樺細工』と書くのが旧来から使われていましたが、「樺」の字から「白樺」の樹皮を使った製品との誤解を招きやすいため、「桜皮細工」との表記も使用するようになっています。
古くは桜の樹皮(いわゆる「桜皮」のこと)を「かには」と呼び、正倉院の御物や、筆、弓、刀の鞘などにも山桜の樹皮を使ったものが見られます。
その工法は、江戸時代中期に、秋田県北部の阿仁地方に伝承された、山桜の皮を利用した細工の技術を、佐竹北家の武士「藤村彦六」が習得したのが始まりと伝えられています。
藩政期の細工物には、印籠、眼鏡入れ、胴乱などが確認されています。明治時代に入ると禄を失った武士たちが、それまで内職であった樺細工(桜皮細工)に本業として取り組み、新しい製品を開発するとともに、商品として問屋を介して徐々に市場を開拓し、大正期には秋田県の特産品として、中央の博覧会にも出品されております。
樺細工(桜皮細工)製品は、その技術・工法により、大きく次の4つに分けることが出来ます。
- 型もの(仕込みもの) 茶筒・印籠・胴乱・コーヒーサーバーなど
- 木地もの 硯箱、文庫、飾り棚、茶櫃など
- たたみもの ブローチ、カフス、タイピンなどの装身具、印籠、胴乱の根付、尾締め
- 文様付け 茶筒、茶櫃などの他の製品への文様付け、色紙掛けなどへの文様付け
樺細工(桜皮細工)の製品は、近年「木地もの」といわれる飾り棚や小引出し、文庫などが新しい製品として創作されていますが、お盆類や茶筒などの日用雑器が中心となっています。 物資不足の終戦直後をピークとして、一時期角館の「樺細工(桜皮細工)」は大きく衰退しましたが、昭和40年代に至り再びブームを迎え、昭和51年に秋田県では最初の、国の「伝統的工芸品」に指定され、今日に至っております。 樺細工(桜皮細工)は「一属一種」の、世界に類例を見ない工芸品として、また、自然素材の美しさ、温かさが愛され、国際的に評価されています。
角館の「樺細工(桜皮細工)」の歴史1 | 角館の「樺細工(桜皮細工)」の歴史2 | 角館の「樺細工(桜皮細工)」の歴史3
有限会社 冨岡商店